2021年12月24日
カイロの街並みを見ていると、ほとんどの集合住宅の屋上が、衛星放送のアンテナで埋め尽くされているのに気づく。その数、20や30台ではきかない。友人に理由を聞いてみた。
中東では衛星放送が主流で、ほとんどの家庭はテレビ1台につきアンテナ1台を設置しているという。1台のアンテナを複数台のテレビで共有できるが、「テレビの映りが悪くなりそうだから」と嫌がる人が多い。結果、遮蔽(しゃへい)物の少ない場所を求め、屋上に次々とアンテナが設置されていくという。
友人の説明を聞き、「なるほど」と思った。似たようなことが地上でも起きている。エジプトでは窓口などで並んでいても、誰かが割り込んだ瞬間、その他大勢が殺到し、「われ先に」のカオスとなる。屋上のアンテナ群はそれを思い起こさせた。
少し気になり、支局の入るビルの屋上をのぞいてみた。20台近いアンテナが並ぶ中、支局のアンテナもテレビと同数の3台あった。1本化しようかとも思ったが、屋上の混み具合を見て、テレビの映りが悪くなりそうだと心配に。カイロにアンテナの多い理由が分かった気がした。 (蜘手美鶴)