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ソウル 愛校心のジャンパー

2022年01月07日

 冬が近づくソウルの街。スクールカラーの紺や赤や緑で色分けされ、校章や虎やワシなどのマスコットが刺しゅうされたスタジアムジャンパーを着た若者が増える。韓国の大学生の多くが、学科生の団結を目的にそろえる「学科ジャンパー」。略して「科ジャン」と呼ばれる。

 日常的に科ジャンを着て地下鉄に乗り、食堂や映画館に入る学生も多い。「自分の通う大学名を見せつけるようなジャンパーを着るなんて、すごい愛校心だな」と思って見てきた。40代の友人は「学歴社会の韓国で競争に勝って大学に入ったという優越感で、科ジャンを着る学生もいると思う」と苦笑した。

 少し前に、気になる地元の報道もあった。名門大の科ジャンを着た男が、飲食店の出前のライダーに、エレベーター内で新型コロナウイルス予防のマスクを着けるように注意され逆上。「勉強しなかったから、出前の仕事なんかしているんだろ」と暴言を吐く動画が投稿された。

 最近は韓流ドラマに科ジャン姿の大学生がしばしば登場し、日本でも「かわいい」と憧れるファンが増えているそうだ。それでも、私は科ジャンに複雑な目を向けてしまう。 (相坂穣)