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ロンドン 格式より大切なもの

2022年01月26日

 「ネクタイを着けていない方は入店できません」

 ロンドンに住んで3年近くになった12月上旬、初めて「アフタヌーンティー」を体験する機会があった。紅茶などとともにケーキやスコーン、軽食を味わう英国の伝統文化だが、訪れた店で出だしからつまずいた。

 専門サイトによると、アフタヌーンティーは19世紀半ばから、上流階級の女性らの社交行事として広まった。店は格式を重んじているようで、服装の規定を見落とした私は受付係の女性の案内でクロークルームでネクタイを借りた。だが、高級そうな生地が滑りやすく、急いでいたこともあって結び目が不格好に。すると、近づいてきた男性店員が「本日は、私の結び方を試すのも良いのではないでしょうか」と結び直してくれた。

 受付に戻った時には恥ずかしさで額に汗が浮いていたが、先ほどの女性は「すてきですよ。さあ、楽しんでください」。紳士淑女が大半の店内では、歩いていると、「良い時間を過ごしてください」などと接客係から声を掛けられた。店が何より大切にしているのは客の気持ち。そう感じた時、気後れが少し薄らいだ。 (藤沢有哉)

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