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パリ 因縁の対決ここにも

2022年02月08日

 体力づくりのため登録したパリの地元スポーツクラブで、サッカーの試合に出場した。オサマ、アユーブ、カリム…。名前から察するにチームメートの大半はアラブ系住民。彼らの特性だと話には聞いていたが、試合が白熱してくるにつれプレーが荒くなり、相手や審判への暴言が後を絶たなくなった。

 何度目のことだったろうか。ファウルをきっかけに相手選手らと口論していた味方の1人が、わめきながらグラウンドを出て行ってしまった。あっけにとられていると、数分後に戻ってきた彼の手には、どこから入手したのか鉄パイプが握られていた。他の味方選手たちもさすがに血相を変えて彼を取り囲み、鉄パイプを奪い取って再び見つけられない場所に隠した。

 しばらくして落ち着きを取り戻した彼は「許せないことを言われた」とポツリ。後で知ったことだが、相手はイスラエル系住民のチームだった。中東から遠く離れた場所でこのような緊張が生まれる事態に、両民族が抱える因縁の深さを思い知った一方、問題の彼が試合後、暴言を受けたとされる相手選手と抱き合って健闘をたたえる姿に救われた気がした。 (谷悠己)

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