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パリ エビかと思いきや…

2022年02月24日

 クリスマスと大みそかに2度、ごちそうを食べる習慣があるフランス。パリ市内の総菜店でクリスマス商戦後に売り出された食材を物色していると、ホタテの貝殻の中に大きな「エビ」のむき身が鎮座し、ホワイトソースを添えたお値打ち品を発見。大みそかの夕食にぴったりだと思い、人数分を買い込んだ。

 当日、喜び勇んでエビにナイフを入れてみると、断面が不自然に真っ白。口に含むと、エビというより白身魚の風味がする。ラベルを確認すると、原材料欄には「SURIMI」の文字。仏語にも定着した食材だが、通常は「カニかま」を指すことが多いので、こんな精巧にエビの形状や色彩を模したすり身が存在するとは想定外だった。

 気になって食後に調べてみると、フランスのすり身消費量は例年6万トン前後で欧州最多という。魚介の前菜が好まれるクリスマスや大みそかのメニューの新顔として、レシピを紹介するサイトも多数見つかった。

 味は、はんぺんとかまぼこを足して2で割ったような食感で、練り物好きの私は大満足。仏料理のソースとの意外な相性の良さも発見でき、けがの功名になった。 (谷悠己)