2022年03月15日
サウジアラビアの首都リヤドの空港で、白いバスタオルを腰に巻いた裸の男性が搭乗ゲートにいた。寒いのだろう、肩にもバスタオルをかけている。シャワー室を利用した直後なのだろうか。それにしても裸とは大胆だ。いろいろと思いを巡らせていると、他にも複数の「バスタオル男」がいることに気づいた。
ここで初めてはっとした。男性たちがいるのは西部ジッダ行きの搭乗ゲート。ジッダはイスラム教の聖地メッカへの玄関口で、メッカといえば巡礼だ。巡礼では白い衣装を着る決まりとなっている。バスタオルの男性は巡礼者だった。
男性の1人と話してみた。「シャワー後だと思った」と言ったら、大笑いされた。「寒くないか」と聞いたら、「かなり寒い」。ただ、体を清めてジッダに向かえばすぐにメッカ入りできるといい、「この方が便利なんだよ」と教えてくれた。
「バスタオル」には深い理由があった。搭乗ゲートに向かう途中、男性が床に大の字になって寝ていた。係員が「寝たらダメだ」と体を揺さぶるが起きる気配はない。普通ではない光景だが、何か深い理由があるのだろう。たぶん。 (蜘手美鶴)