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仏アルザス 親日家が多い理由は

2022年03月23日

 欧州きっての親日国フランスの中でも、北東部アルザス地方は特に親日的として知られる。先日取材で訪れ、日本との強い結び付きを体現する人たちに出会った。キーワードは「成城」と「リトルワールド」だ。

 日系企業の進出が相次いだ1980年代、駐在員の子女向けに成城学園が中高一貫校を開設。ジャン・フロインドさん(37)は実家で日本人生徒のホームステイを受け入れていた縁から東京の成城大に留学し、日本語を習得した。「成城が地元にできたのは運命的だった」と笑う。

 愛知県犬山市の野外民族博物館リトルワールドでは、アルザス地方の伝統家屋が移築された86年以降、日本語を学ぶアルザスの女子学生が1年交代で来日し勤務してきた。その1人ビルジニー・フェルモーさん(46)は「犬山でホームステイ家族と過ごした日々が日本への愛を決定的にした」と振り返る。

 成城のアルザス校は閉校したが、研究機関「アルザス・欧州日本学研究所」が跡地に入居。フロインドさんとフェルモーさんは職員として日仏の橋渡しをしている。地域内での異文化交流がこれほど成功した例も珍しいのでは。 (谷悠己)