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バンコク 活気戻りつつある街

2022年03月25日

 バックパックを背負った若者や、スーツケースを転がす出張者らしき姿をよく目にするようになってきた。新型コロナウイルスが流行する2年前、路上や市場で、すれ違うのもうんざりした人混みにはまだ及ばないが、バンコク中心部では活気が戻りつつある。

 仕事帰りの夜、バーが集まる一角に差しかかると、「席あるよ。食事は済ませた?」と呼び込みの声。酒場やカラオケ、娯楽施設の営業禁止は続いているが「レストラン業態」に変更して再開する店が多い。そうでもしなければ、やっていけない。

 境界は厳密でないようで、酒場そのものだ。路上に並ぶテーブルでは、旅行者か在住者かわからないが、欧米やアジア系の男たちが接待の女性と乾杯。ただ、行きすぎると「偽装レストラン」として摘発される。

 街の活気と比例し、感染者もやや増える。政府幹部は「良心の欠如が、再びこの国を危険にさらす」と苦言を呈すが、夜の酒は「心を緩めてくつろぐものだけに…」との思いも。隔離なし入国は再開、停止、また再開。厳格すぎず、ほどよい緩さがこの国らしい出口戦略になるのだろうか。 (岩崎健太朗)