2022年03月28日

　先日、米西部アリゾナ州フェニックスで開かれたトランプ前大統領の集会を取材した。数千人から１万人ぐらいとみられる参加者でマスクをしている人は、皆無。その人混みをかきわけながら報道陣用にフェンスで囲われたエリアを目指した時に、新型コロナウイルスに感染するのではないかと恐怖を感じた。

　米国ではオミクロン株の出現に伴い、１日当たりの感染者が１５０万人を超えるなど感染が急拡大。それでも、激しい党派対立から、共和党支持層は民主党のバイデン政権が求めるワクチン接種やマスク着用などのコロナ対策に反対し続けている。

　開催要領には「約２メートルの対人距離を空けられない場合はマスク着用を」と申し訳程度に書かれているが、主催者側が求めることはない。演壇に立ったトランプ氏らが「子どもたちのかわいい顔をマスクで覆うのか」とバイデン政権のコロナ対策を批判すると、参加者たちは「ノーッ！」と大声で叫んでいた。

　報道陣用のエリアの入り口が分からず戸惑っていると、初老の女性が「あっちが入り口よ」と耳元で教えてくれた。ありがたかったが、やはりマスクはしていなかった。　（吉田通夫）