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キシニョフ 「普通の徴税」不満も

2022年03月29日

 東欧のモルドバは、九州ほどの大きさの国で、ウクライナにくっつくように南北に広がっている。ルーマニア系の住民が多く、話すのもルーマニア語に似たモルドバ語。ラテン系の言語だけにスペイン語やイタリア語を知っていれば、街角の案内表示の意味が分かる。

 この国は2020年の大統領選で、親欧米派の女性野党指導者サンドゥ氏が親ロシア派の現職大統領に勝利した。さて国民の評判は…。

 首都キシニョフのタクシー運転手アンドレイさん(29)によると、サンドゥ氏の人気は落ちているとのこと。国が税金をきちんと取り立てる体制が好かれないという。

 「税金は国の運営に不可欠では」と尋ねると、「モルドバ流じゃない」という。モルドバは欧州の中でも汚職で有名だ。役所でもビジネスでも「袖の下」で手続きを進めるのが普通らしい。「あうん」の呼吸が妨げられると、仕事がうまくいかないらしい。

 キシニョフの歩道や地下道に降りる階段はボロボロ。税金を使えば整備が進むはずだ。「普通の徴税」に慣れていない国の行方はいかに。 (小柳悠志)