2022年03月31日
「この魚はここの名物ですよ」。米中西部ミネソタ州ミネアポリスのレストランで注文を迷っていると、店の女性がそう言って薦めてくれた。魚の名は「ウォールアイ」。スズキの仲間の淡水の白身魚で、成魚で50センチほどの大きさになるという。
米国の東西のほぼ中央、北はカナダに接する同州に海はない。その代わり、1万以上の湖がある自然豊かな場所だ。ミシシッピ川の源流もあり、メキシコ湾までの4000キロ近い水の旅がそこから始まる。ミネアポリスの名も「水の都市」の意味だ。
州の魚でもあるウォールアイは、地元の人に親しまれている。家族や親戚が連れ立って釣りに出掛け、釣ったウォールアイをその場でフライにするか、自宅で調理するという。
「僕も子どものころ、父や親戚とよく一緒に釣りに行って食べました」。レストランに案内してくれた地元の男性は、懐かしそうに語る。
ムニエルで調理されたウォールアイ。レモンを搾り、タルタル風ソースと食べた。臭みは全くなく、淡泊な中にほんのりと甘みがある。父と子、家族の愛情を感じさせるようなやさしい味わいだった。 (金杉貴雄)