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北京 高額な医療費に直面

2022年04月05日

 運動していた際に不注意から右膝を骨折してしまった。痛みで歩けなくなり、病院に運びこまれ手術をすることに。中国での手術は不安だったが、北京で生活する日本人が世話になっており、医療水準も高いとされる病院で手術できることになり、少しほっとした。

 ただ手術前に病院スタッフが「支払いはこれくらいになります」と持ってきた治療費の概算明細を見て、衝撃を受けた。大部分が保険でまかなえたが、自己負担もかなりの額となった。

 中国は経済成長に伴い医療水準も向上。都市部の大病院では日本や欧米並みの治療を受けることが可能だ。だが病院によって医療水準や治療費には大きな差がある。また日本のような国民皆保険制度は整備されておらず、低所得者にとって高額な医療費を捻出するのは難しい。

 知人の会社員男性は、「うちの会社の保険はがんなど高額手術費はカバーしてない。がんになったらあきらめるか、破産するしかない」と語った。高額医療費の問題は中国に限らず米国などでも指摘されるが、誰でも高い水準の医療を受けられる日本の制度のありがたさを改めて感じた。 (坪井千隼)