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ニューヨーク 大使の愛犬託す願い

2022年04月19日

 ロシアとの緊張が高まっているウクライナの国連大使にインタビューするため、ニューヨークの同国国連代表部を訪ねた。取材開始まで10分。絵画や調度品に囲まれた待合室に座っていると、姿を見せたのは大使でも案内役の書記官でもなく、1匹の犬だった。

 白と黒の長い毛足の小型犬。胸の鈴を軽やかに鳴らしてこちらに近寄り、足元をクンクンとかいでくる。手を差し出すとぺろりとなめ、背を向けて静かに座った。視線の先は、やがて大使が現れるであろう奥の応接室。まるで「危険な人ではありませんでした」と報告しようとしているかのようだ。

 「大使の飼い犬です。女の子で名前はデイジー」。後から来た書記官が教えてくれた。デイジーは全館「顔パス」らしく、インタビュー中にも一度、応接室に鈴の音を響かせた。紛争の危険を訴える大使の眉間のしわも、その時ばかりは緩やかに。

 思えば、ロシアのプーチン大統領も犬好きで有名だ。各国の複雑な利害が絡む現下の情勢。もちろん動物愛だけで片付く話ではないが、デイジーの小さな背中に、つい平和の願いを託してみたくなる。 (杉藤貴浩)

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