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バンコク 電線の風景残すのか

2022年04月20日

 急ぎの仕事を片付けようと、オフィスで過ごしていた休日の昼。突然、近くでバンッと破裂音が響くと同時に部屋が真っ暗になった。慌てて外に出ると、バチバチと火花を散らす電線を遠巻きに眺める人だかり。気温30度超でエアコンも停止。たまらず近くのカフェに退避した。

 バンコク名物の1つに「電線」がある。通信ケーブルなども無造作に絡み合い、例えるなら機織りの糸が縦横無尽に街中を駆け巡っているような。時折、火災の原因にもなり、バイクのドライバーの首に引っ掛かり転倒することもあるそうだ。

 映画俳優のラッセル・クロウさんが昨秋、撮影のためにバンコクを訪れた。やはり目を引いたのだろう。街角の風景写真の1枚に「Bangkok dreaming…」とのつぶやきとともに写真をツイッターに投稿。市民の間で「タイの恥だ」「政府はなんとかすべきだ」と、たちまち物議を醸した。

 政府もさすがに看過できず、対策を講じると表明。ただ、30年以上前から計画はあるが遅々として進んでないとか。整然としすぎても「らしさ」が失われるという複雑な思いもあるが、果たして。 (岩崎健太朗)