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バンコク 「天使の都」いつから?

2022年05月02日

 慣れ親しまれた呼び名が変わるのか。2月、タイの内閣が首都の英語表記の変更を発表すると、ちょっとした騒ぎになった。「バンコク」から「クルンテープ・マハナコン」に。従来いずれも認められていたのだが、後者を公式名称にするという。

 そもそもタイ語表記はこれまでもクルンテープ。タイ人は皆そう呼ぶ。240年前、現王朝を創始したラマ一世が遷都の際に唱えた、100文字を超える名称の最初の2語が「クルンテープ・マハナコーン」。バンコクはその一部地域を指すにすぎないが、外国人の間で広まった。

 突然の政府の方針の背景はよくわからない。「バンコク」には「下品な響きがあるため」との説もあるが「企業や大学、病院の名称も変わるのか」「知名度が高いのに混乱する」と物議を醸すと「今まで通り、何も変わらない」と沈静化に努めた。

 「国の権威を高める世界の潮流に乗っかりたかっただけでは」とタイ人の知人は冷めた見方。クルンテープ~が意味するのは「偉大な天使の都」。響きも、込められた思いも美しい。看板倒れはいただけないが、名実ともに定着する日が来ればいい。 (岩崎健太朗)