2022年04月28日
ロンドン中心部「ダウニング街十番地」にある英首相官邸。厳重なセキュリティーチェックをくぐり抜け、「10」と書かれたあの黒いドアの前で待つこと数時間。お目当ての主は今日も現れず、白いため息をついた。
その間、ドアの中から金髪のボサボサの寝癖頭の中年男性が出てきて、報道陣が一斉にシャッターを切って叫んでいたが、私の待っていたのはこの人ではない。ちなみにこの寝癖頭の男性には、少し離れた公道からも「辞任しろ!」とのヤジが飛んでいて、大変だなと感じた。
会いたかったのは、この館の「ネズミ捕獲長」ことオス猫の「ラリー」。保護猫から抜擢(ばってき)され、先月で就任11年を迎えた。しばしば官邸前の中継映像に映り込む愛嬌(あいきょう)もさることながら、毒舌やユーモアにあふれた「非公式」ツイッターのフォロワーは50万人に上る人気者だ。
好きになってしまいメッセージを送ったが、なしのつぶて。では直接会ってみようと来たものの、3回連続で会えずじまい。なかなかのツンデレぶりだ。
寒いから中で丸くなっているのかな。官邸のニュース映像に目を凝らしながら、会える日を心待ちにしている。 (加藤美喜)