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イエメン・アデン 内戦地で見た日の丸

2022年05月18日

 海に面した断崖絶壁から見下ろした街は、ただただ静かで美しかった。アラビア半島の最南端イエメンの中でも、その南端にある街アデン。内戦下のイエメンで、暫定政府が臨時首都を置く街を取材で訪れた。

 アデンは2015年、反政府武装組織に一時占領され、市街地では大きな戦闘が続いた。その後奪還されたが、多くの市民が犠牲となり、近くで見ると現在も至る所に破壊の跡が残る。

 そんな中、港の近くで日本の国旗が描かれた看板を見かけた。看板の簡単な説明書きによると、どうやら日本政府が援助して汚水施設などが修理されたようだった。看板は海風などでだいぶ傷んでいたものの、日の丸は今もはっきり見て取れ、何とも誇らしい気持ちになった。

 イエメンと聞いて、地図上で場所を言い当てられる日本人はそれほど多くないだろう。しかし、市場では巨大なマグロが売られ、街にはアニメで覚えた片言の日本語で話し掛けてくる若者もいる。「国際社会の支援がほしい」と訴える市民は多く、日本に期待する声も強い。その期待に何らかの形で応えていきたい。アデンで日の丸を見つけそう思った。 (蜘手美鶴)