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ポーランド・プシェミシル 非戦を願う母親の涙

2022年05月19日

 「何てこと! ついに戦争が私たちの街にも来たのね」

 ロシアの侵攻を受けたウクライナからの避難民が集まるポーランド南東部プシェミシルの簡易宿泊所。取材に答えてくれたアンナさん(38)が携帯電話に届いた動画を見て、声を上げた。

 広場に集まった大勢の男性らが軍関係者からロシア軍への抗戦のための武器を配られる様子を、ウクライナ南部の地元に残る夫が撮影していた。「彼は誰かを傷つけることはしたくないから、受け取らなかったみたい」。少し安心した様子のアンナさんに、隣にいた長男ロスティスラフ君(13)が言った。

 「僕が今十八歳以上だったら戦っていると思うよ。プーチンを倒さないといけないから」。それを聞いたアンナさんは「そんなこと言わないで。あなたが未成年で本当に良かった」と言って愛息を抱き寄せた。

 アンナさんは私に、学校の体育館を利用した宿泊所内を見渡すように促した。「小さい子どもたちがこんなにたくさん避難させられている。全てプーチンのせいよ。でも、人が殺し合うのは、もう、やめてほしい」。そう言って、頬を伝ってきた涙をぬぐった。 (谷悠己)