2022年05月20日
羊雑湯は羊のホルモンスープだ。焼餅(シャオビン)という小麦粉が材料のパンの一種とともに食べるのが定番のようだ。どちらかといえば、ファストフードのような存在といえる。
河南省周口市に出張した際、タクシー運転手に「早くて、そこそこおいしいもの」という要望を伝えると、羊雑湯を出す店に連れていってもらった。
あまり期待していなかったが、予想はいい方向に裏切られた。出された羊雑湯は、その本場である東北地方などのものとは少し異なり、酸味と辛味を利かせてある。たっぷりのホルモンと太めの春雨、豆腐などが入り、強めのホルモン臭さに大量の香菜(パクチー)がよく合う。焼きたてパリパリの焼餅は、小麦の香りが鼻から抜ける。
実はこんなにおいしいものとは知らなかった。そこで北京に戻ってから、職場近くで同じものを食べてみた。しかし残念ながら塩辛いばかりのスープも、べちゃっとした焼餅もイマイチ。そんな話を周辺の中国人にすると、「あの店はうまい」「あそこは名店だ」などと教えてくれた。生活圏から離れた店ばかりだが、北京で「あの味」を探してみたい。 (中沢穣)