【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 北京 拍子抜けの「まずさ」

北京 拍子抜けの「まずさ」

2022年06月09日

 ロシアのウクライナ侵攻から、どのように話題がそれたのか覚えていないが、その中国人男性が力説した。「とにかくまずい。中国で1番まずい飲み物として知られている」

 教えてくれたのは、ロシア由来の炭酸飲料「格瓦斯」。中国語では「グワス」の発音に近い。ロシアの伝統的な飲み物「クワス」が伝来し、主に東北地方で飲まれてきたという。麦汁が原料だが、アルコール度数は1%前後。男性は「パンみたいな変な味」とも強調した。

 そこまで言われると試したくなる。自宅近くのコンビニにはなかったが、職場近くのロシア系スーパーですぐに見つかった。1.25リットル入りで10元(約190円)。ラベルには「ロシア風味・麦芽汁発酵飲料」とあり、さらに「ロシアでは1000年以上の歴史があり、19世紀末に中国に伝わった」と説明がある。

 実際の味はかなり甘く、かすかにパンが焦げたような香りもある。しかしそれほどまずくない。拍子抜けしたが、「まずい」という評判は本当らしい。会社に持ち帰ると、中国人スタッフが「それ、まずいやつですね」と笑い、勧めても「いりません」と拒まれた。 (中沢穣)