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ワルシャワ 戦争と赤ちゃんの寝息

2022年06月22日

 ぷっ、ぷっ-。朝の病室に響く小さな寝息。新生児の寝息を聞くのは、思えば初めてだった。ワルシャワの病院で、ウクライナ避難民の母子を取材した。首都キーウ(キエフ)から逃れて来たロズビツカさん(29)は、ワルシャワ到着の3日後、第1子の長女ミヤちゃんを出産した。

 病室にはロズビツカさんとミヤちゃんの2人きり。夫は徴兵の可能性があるため一緒に国外避難はできなかった。「無事に生まれてすごくうれしい」と笑顔を見せた次の瞬間、「でも、すごく怖い。夫に会いたい」と言って次々に涙をこぼした。

 ウクライナでは多くの病院がロシア軍に破壊され、無事に出産できる場所はごくわずかとなっている。避難所や自宅での出産を強いられるケースがある一方で、ロズビツカさんのように、出産間近に長距離を移動して隣国で出産する女性もいる。

 涙をぬぐうロズビツカさんの横で、ミヤちゃんが穏やかに眠っていた。本来なら人生最大の喜びの1つでもあるわが子の誕生。しかし、それを心から喜ぶことができない。戦争下で生きるというのは、どういうことなのか。目の前でそれを見た気がした。 (蜘手美鶴)

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