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米ベセスダ 頼れることは頼って

2022年06月28日

 ワシントンに赴任して1カ月。住居が決まらず家族でホテルなどを転々としてきたが、ようやく首都近郊にあるベセスダの古い一軒家に入居した。ほっとしたのもつかの間、今度は小学4年の長男の現地校への転入手続きがなかなか進まない。

 日本人学校がないので現地校で学ぶしかないのだが、海外からの転入手続きには早くても2週間、遅いと2カ月近く待たされることがあるという。気付けば長男は1カ月近く両親以外と話す機会もなく、「早く学校に行きたい」とこぼすように。精神的にも不安定になっていた。

 自分たちだけではどうにもできず、同じ郡内の小学校で働く作業療法士の日本人女性に相談した。女性はすぐに教育委員会に掛け合ってくれ、事情を理解した学校側もあっという間に転入を認めてくれた。

 「渡米直後はやることが多くて精神的にもきつい。だから頼れることは誰かに頼ってください。まずは自分の酸素マスクからですよ」。女性にそう言われ、仕事と生活の立ち上げで余裕のなかった自分に、はっとした。米国に住むさまざまな人に助けられ、何とかひと息つけたように思う。 (浅井俊典)