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米ボルティモア プロパガンダに対抗

2022年07月05日

 「ナタリアさんの勇気に力づけられている」。米東部メリーランド州ボルティモアに住む40代の看護師ソニア・カンガさんは、故郷のウクライナ北東部ハリコフの惨状に涙しつつ、そう語った。

 先日記事にした、ハリコフでロシアの戦争犯罪の証拠集めをしている市民団体代表ナタリア・ズバルさん(57)の活動を数年前からボランティアとして支え、証拠映像に英語の説明文を付けたりしている。ボランティアに加わったきっかけは、ロシアのプロパガンダに対抗する必要があると感じたためという。

 ウクライナ南部クリミア半島出身の知人が、2014年のロシアによるクリミア侵攻を機に「交流サイト(SNS)で、ウクライナ政府が国民を虐げているといった陰謀論を振りかざすようになった」と振り返る。背後にプロパガンダがあったと考え、「ロシアに考え方まで操作されるのはがまんできない」と語る。

 SNSが発展した今、物事を隠すのは容易ではないと言われる。しかし逆に、根拠のない陰謀論が広がりやすくなってしまった副作用も、ひしひしと感じている。 (吉田通夫)