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北京 ウイルスは怖くない!?

2022年07月04日

 「北京市内で2人が新型コロナウイルスに感染」。北京に住んでいると、こんなニュースを見ただけでドキッとする。仮に感染者と同じ日に同じ場所にいたことが分かると、濃厚接触していなくても2週間の隔離を求められる可能性があるためだ。

 速報が流れると、まずは記事に詳細に記述される感染者の行動履歴に目を凝らす。自分の移動ルートと重複しないことを確認して、ようやく安心する。

 市内の商業施設やオフィスビル、レストランなどは全て専用のQRコードを備えており、入る際には必ずスマホでスキャンして自分の足跡を登録しなければいけない。黙って通り過ぎようとすると、入り口に立つ警備員や店員に登録を順守するよう求められる。コロナ対策が徹底していない店は営業停止などの処分を受ける恐れがあるため、彼らはやたらと厳しい。

 「ゼロコロナ」が続く限り、ある日突然隔離される不安が付きまとう。そんな生活が続くと、怖いのは非人道的な隔離で、ウイルスは怖くないという意識が根付いてくる。徹底したゼロコロナによって、感染を正しく科学的に恐れることができなくなった気がする。 (白山泉)