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米ボストン 形違えど今もなお…

2022年07月06日

 米ボストンの中心街を抜けて海に近づくと「ボストン茶会事件」を記念した博物館が見えてくる。事件は英植民地期、本国による茶税法などの圧政に苦しむ人々が海に茶箱を投棄し、米独立戦争につながった。はるか250年近く前の出来事だ。

 だが、今もこの地には故郷を遠く離れ、抑圧に苦しむ人々がいる。中国新疆ウイグル自治区などから渡米した200人ほどのウイグル族の人々だ。自治区では、中国政府によるウイグル族への弾圧が国際社会で強く疑われている。

 「故郷にいる病気の母親には4年間連絡していない」。数カ国を渡り歩き、米国に来たウイグル族の男性(50)は、そう肩を落とした。外国にいる自分との接触が当局に発覚し、母に害が及ぶのを恐れる。ボストンの大学に通う青年は「昔なら自治区で母語のウイグル語が学べたが、今は無理だ」と漏らした。

 茶会事件の博物館は、当時の衣装を着たスタッフが笑顔を振りまく気軽な観光スポットになっている。形は違えど、自由を求めるウイグルの人々が報われるのはいつの日か。負の歴史が、早く博物館に眠るよう願う。 (杉藤貴浩)

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