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北京 「中国人記者」の辞職

2022年07月20日

 私の書いた記事で「中国人記者」として登場したことのある男性が、私の北京離任を前に送別会を開いてくれた。その席で彼が「実は最近、記者を辞めた」と明かした。自由に書けない、給料が少ない、前途が見えない、などが理由という。

 報道規制の強まる中国では、記者が自由に書ける空間が狭まっている。彼によると、取材しても上司や当局から書くなと言われることは日常茶飯事だ。さらに日本などと同様に、中国でも報道機関の経営は厳しい。そのため多くの記者が若くして辞めてしまう。彼はまだ30代前半だが「中国ではベテラン記者ですよ」と自嘲気味に話した。

 そんな厳しい環境でも、「書けるもの」と「書くべきもの」との折り合いをなんとかつけて、社会に伝えようと奮闘している記者が何人もいる。彼もそんな1人だった。湖北省武漢市での新型コロナウイルス流行に関する記事で彼の署名を見つけ、そのメディアの編集部に直接電話したのが縁の始まりだった。

 そんな昔話を持ち出すと、「少し疲れた。かつては記者を一生続けるのが夢だったけど…」。彼の夢が中断したことが残念でならない。 (中沢穣)

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