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ロンドン 英国の嫌みは奥深い

2022年07月15日

 先日、ロンドンのテムズ川南岸にある人気市場のバラマーケットを訪れた。チーズや肉、果物などの店舗が並び、試食もできて楽しいスポットだ。友人と食材を物色しているとき、向こうから来た女性に、すれ違いざま「テイク・ユア・タイム」と言われた。(え、ごゆっくり?)と思ったのもつかの間、ああ嫌みを言われたのだと気づいた。

 要するに「邪魔だ、早くどけ」ということである。後日、英国人の知人に話すと「その人の態度は失礼だが、いかにも英国風の言い方だ」とのこと。「英国人は真っすぐな物言いを好まないから」と知人。遠回しに皮肉や嫌みを言うのが英国流で、大抵はすぐ分かるが、数日後に気づくこともあるという。

 送別のメッセージで、一見名残惜しそうな言葉の裏に「二度と会いたくない」という意味を込め、相手がいまだに気づいていない例も知っているというから、怖くも感じた。

 奥深い英国人気質についてひとしきり聞いた後、知人がちょっとトイレに行ってくると言った。「テイク・ユア・タイム」。自然にそう言って、「あ、嫌みじゃないからね」と慌てて付け加えた。 (加藤美喜)

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