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ソウル 紙の新聞はどこに…

2022年07月14日

 ある週末、職場で購読していない銘柄の韓国紙を買いたくて自宅周辺を探し回った。取材先の大学教授の対談が載ると聞いていたからだ。

 新聞はコンビニで買えると思い込んでいたが、10軒近く回っても「扱っていない」と言われるばかり。ソウル中心部の街頭では新聞を並べた売店を見かけるが、自宅がある郊外では入手困難なのだと気付いた。

 困ってその新聞社の記者に尋ねると「たぶん明日にはインターネットに載りますよ」。韓国では多くのニュース記事がネットで無料で読めるが、新聞社はやっていけるのか。

 韓国言論振興財団の調査によれば、紙の新聞を発行する新聞社の売り上げに占める販売収入は2割ほど。ネットを含む広告収入が6割以上を占める。日本では販売6割、広告2割(日本新聞協会のデータ)で収益構造が全く違うのが分かる。

 知人の記者は「新聞社は厳しい中でも、大手企業やポータルサイトと提携して収益を確保している」と明かす。変化の速いネット社会に適応していることに感心する一方、紙の新聞が街から消えるのは同業者として寂しい。

 (木下大資)