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北京 ハイテク監視の現場

2022年07月25日

 「作業員が工作機械に近づき過ぎ、危険です」「安全ヘルメットを装着していない人がいます」。監視カメラが工場の作業状況をチェックし人工知能(AI)で解析し、危険な状況と判断すれば、自動音声で警告する。中国のIT大手が開発した工場や建築現場での安全監視システムだ。

 4月中旬、この会社の本社を訪れた際、同社の担当者が実際にシステムを導入した中国国内の工場について紹介してくれた。作業員の命を守るには、ミスをしたり決められた手順を守らなかったりする人間が管理するよりも、監視カメラとAIが管理した方がいい、というわけだ。

 中国の工場や建設現場では、ずさんな安全管理から死傷者が出る事故が多発している。ハイテク技術の導入で事故が減らせるならば、素晴らしいことだ。

 ただこうしたハイテク技術を活用した監視システムは、新疆ウイグル自治区などで当局に反抗的な市民の管理に活用されているとの指摘もある。言論の自由も、権力をチェックする仕組みもない国で、監視システムが強化されていくとしたら、気味が悪い。 (坪井千隼)