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英ソールズベリー 800年前の原本と共に

2022年07月22日

 日本の連休のタイミングに合わせて、友人とイングランド南西部の中世の街ソールズベリーを訪れた。街並みを楽しみながら大聖堂へ。目当てはマグナ・カルタ(大憲章)の原本だ。

 1215年、当時の悪評高きジョン王に対し、貴族らが王権の制限や法による支配、教会や都市の権利を認めさせた歴史的文書。英国内に原本は4つ現存するが、大聖堂のものが1番明瞭という。実物がどんなものか、ワクワクした。

 カーテンが引かれたブースに入ると、小さな字がびっしり書かれた1枚の羊皮紙があった。拡大鏡をのぞき込むと、美しい文字列がくっきりと見えた。800年前に書かれたとは思えないくらい、その筆跡はみずみずしく、神々しかった。

 しばし拝んでからブースを出ると、歴史ある大聖堂には不釣り合いな大画面の映像が。よく見ると、ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)や新型コロナウイルスの行動規制に対するデモの様子。そうか、マグナ・カルタの精神は、自由と権利を求める現代の活動に連綿とつながっているんだ。見せ方の妙に感心しつつ、ありがたさをかみしめた。 (加藤美喜)