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ニューヨーク 銃大国の悲しい現実

2022年08月18日

 米国で連日のように発生する銃撃事件は、記者としてはもちろん、この地で子どもを学校に通わせる身としても深刻な問題だ。長女(13)の通う中学校では5月にテキサス州の小学校で21人が犠牲となった乱射事件後、星条旗を半旗にし、教師からこんな話があったという。

 「この学校には、万が一の時の備えがあるから安心しなさい」。備えというのは、警官のこと。近隣の小学校を含めて校内に常駐し、異変に目を光らせている。入学時にあった校長の説明はさらに直接的で「子どもたちの安全は銃を持った警官が守ります」と言い切っていた。

 端的に言えば「銃には銃を」という論理だ。小学生の長男(10)に聞くと、いつも警備してくれている警官は子どもらと親しく「たまに冗談で教室の窓越しに銃を見せてくる」。

 銃規制派と所有権擁護派の主張がぶつかり合う米国。日本の感覚からすると「銃なんてないほうが良いに決まっている」と思うが、事件が起こるたびに沸き上がる「学校をもっと武装化しろ」という意見にも、つい親としてはうなずきそうになってしまう。銃が身近すぎる国の悲しい現実だ。 (杉藤貴浩)