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ロシア・ガガーリン 女王のマナーに敬意

2022年10月05日

 世界初の宇宙飛行士ガガーリンが育ち、彼の名を冠した街がロシア西部にある。この地の博物館でこんな逸話を聞いた。

 1961年、宇宙から地上に帰還したガガーリンは人類の英雄となった。英国のエリザベス女王から食事に招かれる栄に浴した。だがテーブルに並ぶのは、無数のフォークやナイフ。ガガーリンは「私は田舎育ちなのでスプーンしか使わなくて…」と恥じ入った。

 女王は「私も食事作法を勉強中です」とへりくだった。次に、ガガーリンは紅茶に入ったレモンをスプーンですくって、口にした。女王お付きの人たちは眉をひそめたが、女王はガガーリンに倣い、レモンを口に運んだ。女王は英国式マナーに背いてもガガーリンという人物に近づこうとしたのだ。

 「真のマナーは型ではなく心遣いにある、と女王は理解していたのでしょう」と博物館職員のエレーナさん。ガガーリン市の住民は、女王の振る舞いに敬意を抱いている。

 一方、ロシアの指導者は自国の論理を他国に押しつけてばかり。エリザベス女王に人間のマナーを学ぶべきかもしれない。 (小柳悠志)