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米ベセスダ 心にも暖炉の温かみ

2023年04月14日

 早朝に目覚めると、何だか足先が冷たい。しぶしぶ起き上がって家のあちこちを調べたら、地下室のセントラルヒーティングが壊れていた。

 セントラルヒーティングはガスで温めた熱を各部屋に循環させる米国では一般的なシステムで、ワシントン近郊のベセスダにあるわが家も年代物の装置が年中動いている。大家のジョージさんが修理業者に連絡してくれたが、業者が旅行中で帰るのは4、5日後になるという。外は氷点下の寒さ。案の定、子どもが風邪をひいてしまった。

 震えながら翌朝を迎えると、ジョージさんがやってきた。両手にはいっぱいの薪。家にある古い暖炉の使い方を教えてくれるという。煙突の通気口を開け、手際良く薪に火をつけると、ぼうっと温かな光が部屋に広がる。「寒い思いをさせて悪かったね」と言い、修理が来るまでの日数分の薪を置いていった。

 米国の住宅は古い物件を直しながら使うので不具合も多いが、ジョージさんはすぐに駆けつけてくれる。「君たち家族には快適に過ごしてほしいんだ」。そう話す大家さんの心遣いを感じ、体の芯まで温かくなった気がした。 (浅井俊典)