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仏セート 奇遇 偉人との「再会」

2023年04月18日

 「こんな所で彼の名を目にするとは…」。フランス南部の港町セートにある海洋博物館で開かれた、海女に関する展示会を取材した時のこと。「外国人から見た海女」として展示されていた写真の撮影者が、イタリアの著名な人類学者フォスコ・マライーニさん(1912~2004年)であることに驚いた。

 伊フィレンツェに留学していた学生時代に親しくしていた日本語を専攻する友人が「私のバイブルだ」と紹介してくれたのが、フィレンツェ大教授として日本語学科の創設に携わったマライーニさんの著書だった。

 4年前の夏。文化研究者として日本に滞在していたマライーニさんが第二次世界大戦中、自国のファシスト政権を拒んだことで、同盟国の日本から「敵国人」とみなされ抑留された愛知県豊田市の寺を取材する機会を得て、懐かしい名を耳にした。当時の住職の子孫が同年代だったマライーニさん一家の娘と遊んだ日々を振り返ってくれた。

 そのマライーニさんが海女文化を海外に紹介した先駆的存在だったとは不勉強だったが、記者になった年に亡くなった彼を生前に取材したかった、との思いを新たにした。 (谷悠己)