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英マルムズベリー 「空飛ぶ修道士」の町

2023年06月27日

 英イングランド南部の中世の面影が残る町、マルムズベリーを訪れた。取材相手のウクライナ避難民女性を待つ間、中心部の修道院を散策していると、犬を連れた男性に「旅の人? 『空飛ぶ修道士エルマー』を知ってるかい」と話し掛けられた。

 男性によると、エルマーはギリシャ神話のイカロスの話に魅せられ、空を飛んだ欧州初の人間だという。興味を持って修道院の冊子を読むと、ライト兄弟の飛行からさかのぼること900年前のころ、当時20歳前後だったエルマーは、修道院の塔の上から木と布で作ったグライダーのような仕掛けで約200メートルの「飛行」に成功したとある。

 エルマーは着地の際に両脚を骨折し、残りの人生をずっと不自由な脚で過ごしたというが、彼の偉業は今も住民たちの「大きな誇り」と書かれてあった。

 その後、修道院前で取材した避難民女性は「町の人々は市場を開いたりコンサートを開いたりと、多様なアイデアで私たちを支援してくれた。私も油絵で自立し、人生を切り開きたい」と意欲を語った。エルマーのチャレンジ精神と意欲がこの町で連綿と受け継がれ、彼女を助けている気がした。 (加藤美喜)