ジャンル・エリア : 近畿 2008年09月11日

月と天守閣、そして虫の声=玄宮園で
秋月に照らされた名城の天守閣を望み、虫の音に耳を傾ける…。滋賀県彦根市の国宝彦根城内に造営された池泉回遊式庭園・玄宮園が1日から夜間開放され、「虫の音を聞く会」が開かれている(30日まで)。
夕暮れ、せみ時雨に包まれた園内に入り、緋毛氈(ひもうせん)を敷いた縁台に座って静かに待った。日が落ちると「ジィージィー、カナカナ」から「リーイーリー」のアオマツムシの声に替わった。箱に入れられたスズムシも「リーンリーン」と鳴き始め、あちこちでコオロギが「コロコロ」。虫たちの演奏会の幕開けだ。小さな秋が来たことを実感した。
マツムシ、カネタタキも生息し、これから鳴きだすという。手をつないでささやくカップルがほほ笑ましい。興ざめはライトアップされた城や池を撮影するカメラ付き携帯電話のシャッター音だった。
土日祝日は野点(のだて)茶会、邦楽演奏、木曜日は園内の池で舟雅楽などのイベントあり(いずれも悪天候は中止)。時間があれば高台に立つ鳳翔台の茶席で一服(抹茶、和菓子付き500円)を。彦根藩主・井伊家の殿様気分に浸れる景観が広がる。中秋の名月は14日だ。
昼間は城の中堀にかかる京橋から南に伸びる通りに白壁、黒格子の町家が再現された「夢京橋キャッスルロード」や、大正ロマンの香りあふれる景観を目指した「四番町スクエア」を歩くと楽しい。ろうそく夢工房がある夢京橋あかり館や和雑貨、土産店などユニークな店が並んでいる。ひこにゃんに会えるかも。
▼メモ
彦根城はJR彦根駅から徒歩15分。マイカーは名神・彦根ICから5、6分。玄宮園の夜間特別公開は午後6時30分-9時。大人500円、小中学生200円。午後5時以降駐車場無料開放。(問)0749(23)0001=彦根観光協会。
彦根プリンスホテルでは虫の音を聞く会&秋の味覚プランを設定。宿泊プラン1泊2食、玄宮園入場料付き1万1500円から、日帰りプラン夕食代、入園料付き5500円から。(問)0749(26)1111=同ホテル
(中日新聞夕刊 2008年9月11日掲載)