ジャンル・エリア : 福井 2011年02月25日

進化の過程で後ろ足が退化したクジラ「ドルドン・アトロックス」=勝山市の県立恐竜博物館で
勝山市村岡町の県立恐竜博物館で25日から、かつては水底などを4本足で歩いていたと推定される最古のクジラや史上最大級のジャンボなカメの化石など3体のレプリカが、常設展示物として公開される。
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陸や川底を歩いていたとされるクジラは進化の初期の個体。パキスタンで約5000万年前に生きていたとみられる。学名「パキケタス・アトッキ(全長2.5メートル)」。
同館の一島啓人主任研究員(46)は「魚や甲殻類を捕食し、カバのようだったのでは」と推測する。のど付近の耳の骨の位置が現在のクジラと共通している。それから約1000万年後、エジプトに生息していた「ドルドン・アトロックス(全長5.5メートル)」は、進化を遂げて海へ行動範囲を広めたとされる。
後ろ足を退化させた代わりに、大きな推進力を得るのに必要な“しなやかな背骨”を手に入れた。見た目もぐんと今のクジラに近くなっている。
一島さんは「広範囲で同じような化石が確認されることから、海を泳いで分布を広げていったと考えられる」と解説する。
一方、史上最大級といわれるカメ化石「アーケロン・イスキロス(約7000万年前)」は北米で見つかっている。全長は4.5メートル、前ひれを広げた両端のサイズは5.2メートルにも及ぶ。
一島さんは「巨大な個体を見るだけでも人間は感動する。太古の海も想像できる」と話し、大勢の来館を期待していた。 (吉野淳一)