ジャンル・エリア : 岐阜 2009年11月20日

大作を前に制作を振り返る佐藤昌宏さん=岐阜市栗矢田のギャラリーパスワールドで
動物の輪郭の中に魚や虫などがうごめく独特の細密画を描く“絵師”佐藤昌宏さん(55)=岐阜市中=の個展が、同市栗矢田のギャラリーパスワールドで開かれている。23日まで。入場無料。
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子どものころ山でよく遊び、虫やムカデなどの生き物を見るのが好きだった佐藤さん。東京芸大在学中、人間の胎児が母体の中で40億年の進化の過程をたどるという説を聞いたのをきっかけに、人とほかの動物が一体となった生命観に思い至り、絵画にするようになったという。
今回は、岐阜大教授として絵画表現を指導する傍ら、1年半の間に制作した34点を出品。細部まで克明に描けるように、樹脂テンペラという独特の絵の具を使っている。
120号の大作を3点組み合わせた「地の神『三神図』」は、双頭の犬やカエルが、山積みの人間の上に君臨するように立つ作品。仏教美術の構図の中に、細かい生き物を描き込んだ作品もある。
佐藤さんは「絵の密度を上げると、自分の世界が煮詰まっていく快感がある。見る人がどう感じるか聞いてみたい」と話していた。
(森村陽子)