ジャンル・エリア : 富山 2012年01月18日

石黒と北本による成果の一つで国重要文化財の「越前近江糧道測量絵図」
重文含む資料60点
新湊博物館
射水市出身の測量家石黒信基(のぶもと)(1836~69年)と北本栗(りつ)(1832~86年)の業績を伝える企画展が、同市鏡宮の新湊博物館で開かれている。2月26日まで。国重要文化財(重文)になっている貴重な測量絵図や、現代科学に引けを取らない正確さを誇る資料を見ることができる。(中村真暁)
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2人は、ともに旧射水郡高木村(現射水市高木)出身。信基は、和算に加えヨーロッパの数学を取り入れて測量術を極めた同村出身の測量家石黒信由(1760~1836年)のひ孫。北本は信基の叔父。2人は、信由の測量術や和算を継承し、発展させた。

石黒信由の子孫の業績を紹介している「高樹文庫絵図集」=いずれも射水市新湊博物館で
企画展では、石黒信由やその子孫の測量家が残した資料を保存している地元の財団法人の所蔵品から、測量絵図や古文書60点を紹介。
重文の「越前近江糧道(えちぜんおうみりょうどう)測量絵図」(縦1.1メートル、横2.6メートル)は、1867年に作られた。敦賀湾から琵琶湖にかけての測量絵図。
黒船の来航を受け、日本海に欧米の軍艦が来ることを懸念した加賀藩が、日本海から京都まで安全に物資を運搬できる運河を造ろうと、2人に作製を命じた。運河計画自体は、幕藩体制の終結によって立ち消えとなった。
この絵図作製の際、2人は、測量した各地点間の距離と標高を立体的に表現した「直径直高之図」も作製した。土地の断面図のような絵図で、同館の加治徹学芸員は「標高を示す測量図は明治以前には他に類のない画期的なもの。現在の衛星利用測位システム(GPS)による測量と比べても、0.5%しか誤差がなく、とても精巧に作られている」と言う。
同館は企画展に合わせて、信基ら、石黒信由の子孫4人の業績を紹介した本「高樹文庫絵図集 石黒信易・信之・信基・北本栗」(A4判、32ページ)も編集した。同館で1冊800円で販売している。火曜休館。大人300円、65歳以上150円、中学生以下無料。
問い合わせは=電0766(83)0800=へ。