ジャンル・エリア : 甲信越 2008年12月02日

石積みから吹き出してくる冷たい空気を体感する人たち=松本市安曇の見学用風穴施設で
地下を通った冷たい空気が吹き出す場所「風穴(ふうけつ)」が点在する松本市安曇の稲核(いねこき)地区で、風穴の冷たい空気を利用した見学用の倉庫がオープンした。観光客が自由に体感できる風穴は初めてで、整備した地元町会関係者らは「悲願がかなった」と喜んでいる。
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同地区には山の石の間から冷たい空気が吹き出す風穴が、確認されているだけで三十数カ所ある。江戸時代から風穴のある場所に横穴を掘って倉庫を造り、漬物や苗木などを保存してきた。真夏でも内部は6-8度程度に保たれ、天然の冷蔵庫として活躍してきた。
だが風穴を利用した倉庫は個人所有がほとんどで、観光客が見学を希望しても難しかった。地元稲核町会は、地域の伝統文化を知ってもらおうと、中信森林管理署が所有する倉庫を譲り受け、1100万円かけて見学用施設として改修した。
木造平屋土壁造りで、延べ床面積約77平方メートル。山側の石積みの間から、冷たい空気が吹き出してくる。
同町会の川上篤町会長は、「今までは観光客から、『風穴はどこにあるの』と聞かれても案内できなかった。これで紹介することができる」と喜ぶ。同町会は、この施設を見学だけでなく酒やみそ、ワインなどの貯蔵に利用することを検討している。
施設は同地区の道の駅「風穴の里」のすぐ近く。道の駅が管理する。
(坪井千隼)