ジャンル・エリア : まつり | 岐阜 | 工芸品 | 文化 2014年10月30日

美濃、アマルフィ両市の文化を紹介する冊子を手に産業祭をPRする担当者の高木宏和さん=美濃市生櫛の市教委で
美濃市や近隣の地場産業をPRする市産業祭が11月7、8日、同市曽代の市運動公園で開かれる。美濃で作られている「本美濃紙」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなり注目を集める中、欧州の有名な紙すき産地、イタリアのアマルフィ市もブースを出す。東西の「和紙の里」の伝統技術や文化の交流を図る絶好の機会だ。
市産業祭は毎年秋に開かれ、39回目。美濃手すき和紙協同組合の協力で毎回、美濃和紙のブースを出している。組合によると、両日合わせて10人の手すき和紙職人が参加し、紙すきの体験指導や実演をする予定で、本美濃紙の販売も検討しているという。
ことしはその隣にアマルフィ紙の紹介コーナーを設置。アマルフィ市唯一の製紙工房「アマトゥルーダ」の製品を展示したり、職人が紙すきを実演したりする。来場者には、すきたての紙のプレゼントもある。
アマルフィには、伝統ある紙作りに加え、世界遺産の「アマルフィ海岸」もあり、観光地としても知られている。同様に和紙作りや観光に力を入れている美濃市は昨年5月、アマルフィ市と「紙の文化交流協定」を締結。今回の産業祭への参加は、昨年12月に美濃市の訪問団がアマルフィに派遣された際、当時副市長だった武藤鉄弘市長が呼び掛けたことから実現した。
今秋の本美濃紙の無形文化遺産入りも念頭にあり、登録勧告が出たタイミングで、アマルフィからの訪問団を迎えることができた。受け入れを担当する市教委人づくり文化課課長補佐の高木宏和さんも「美濃和紙1300年の歴史が世界に認められ、歴史を重んじるアマルフィの人にも伝えられる。海外へアピールする契機になる」と期待を込める。
産業祭と別に、イタリア家庭料理の試食会も開かれる予定。アマルフィの人たちが、既に無形文化遺産にもなっている「地中海料理」作りに腕を振るう。
高木さんは「観光振興だけでなく、両市の紙すき文化の保存と活用も、協力し合って進めていければ」と意気込んでいる。
(大野雄一郎)