ジャンル・エリア : テーマパーク | 動物 | 生き物 | 石川 2016年12月16日

止まり木で羽を休めるトキ=能美市徳山町のいしかわ動物園で
国の特別天然記念物「トキ」の一般公開が、能美市のいしかわ動物園で始まって間もなく1カ月。12月の月間入園者数が過去最多に迫るなど、その効果は如実に表れている。中でも増えているのは65歳以上のシニア層。野生下で絶滅する前、広く日本の空を舞っていた時代を知るだけに、高い関心を集めているようだ。
園によると、一般公開された11月19日から12月14日までの入園者数は1万5000人余。オフシーズンにもかかわらず全国から入園者が詰め掛け、例年の1.5倍を超えた。12月の月間入園者数も14日時点で5301人が訪れており、過去最多の7086人(2015年)を更新しそうな勢いだ。
園によると、増加分の大部分をシニア層が占めている。シニア層の割合は従来、平日は2~3%、土日祝日は3~5%だったが、トキ公開以降、平日は40~50%、土日祝日は20~30%に増えた。公開後にシニア層が購入した年間パスポートは56件で、昨年販売した総数(169件)の3分の1を占めている。
シニア層が急増した理由について、美馬秀夫園長は「トキの絶滅をリアルタイムで知った世代。思い入れがあるのでは」と分析。本州最後のトキが生息した能登の住民が懐かしんで来園するケースも多いという。
美馬園長は「公開後、しばらくは警戒して茂みに隠れることが多かったが、最近は観覧通路のそばで羽づくろいし、トキ色の羽を広げて飛ぶ姿も見られるようになった」と話す。年内の営業は28日まで。来年は1月2日から営業する。 (吉野淳一)