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【長野】高山チョウ守りたい 安曇野・田淵行男記念館で作品展

ジャンル・エリア : 展示 | 生き物 | 甲信越 | 芸術  2018年02月07日

高山チョウの写真や細密画などが並ぶ作品展=安曇野市の田淵行男記念館で

高山チョウの写真や細密画などが並ぶ作品展=安曇野市の田淵行男記念館で

 山岳写真家でチョウの生態研究でも知られる田淵行男さん(1905~89年)の作品展「高山蝶(ちょう)-美しいナイン」が6日、安曇野市豊科南穂高の田淵行男記念館で始まった。本州に生息する高山チョウ9種を、写真と細密画などで紹介。厳しい山岳地帯で暮らす小さな命の輝きが、来館者を魅了している。5月27日まで。

 南北アルプスや八ケ岳など、本州の高山には9種類のチョウが生息する。同館によると、田淵さんはこれを「美しいナイン」と呼んだという。

 9種は、尾根筋にすむタカネヒカゲとミヤマモンキチョウ、花畑にすむタカネキマダラセセリやベニヒカゲ、クモマベニヒカゲ、谷沿いや灌木(かんぼく)帯にすむミヤマシロチョウやコヒオドシ、クモマツマキチョウ、オオイチモンジ。

 成虫や卵、幼虫、サナギの写真22点のほか、水彩の細密画など約40点が展示されており、会場は昆虫館のよう。種類ごとに解説文と図表が添えられ、卵→幼虫→サナギ→成虫の期間を図示している。

絶滅が心配されるタカネキマダラセセリ=安曇野市の田淵行男記念館の資料より

絶滅が心配されるタカネキマダラセセリ=安曇野市の田淵行男記念館の資料より

 タカネヒカゲは9種の中で最も高山性が強く、標高二千数百メートルの尾根筋にすむ。北アでは白馬岳-穂高岳の稜線(りょうせん)上に分布する。タカネキマダラセセリは絶滅の恐れが最も高い種という。

 同館の学芸員は、田淵さんが自著で「この地史の落とし子たちに安らかな旅を続けさせねばならぬ」と書いている点を指摘。「希少で美しい高山チョウ保護の必要性を説いていると思う」と話している。

 入館料は高校生以上300円。月曜日休館。(問)同記念館=0263(72)9964

 (野口宏)