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【愛知】遺志受け継ぎ豊橋で展示へ 故杉浦さんの吉田城模型

ジャンル・エリア : | 展示 | 愛知 | 歴史 | 芸術  2018年02月08日

木戸さんが保管している吉田城鉄櫓の模型=豊橋市春日町で

木戸さんが保管している吉田城鉄櫓の模型=豊橋市春日町で

 豊橋市が誇る名城・吉田城(今橋町)を身近な材料で再現した模型が10日に市内で展示される。作り主は「地元で愛される存在に」と吉田城に向き合い続け、2014年に66歳で病死した故杉浦茂さん。杉浦さんの仲間たちが、模型に込められた思いを受け継ぎ出品する。

 屋根瓦の接ぎ目は250本超のつまようじ。瓦の波形は段ボール紙の表面を剥いだクッション部分になっている。立派な石垣は拾った小石の集まり。高さ30センチの吉田城鉄櫓(くろがねやぐら)の模型は、細部まで精巧だ。

 製作した杉浦さんは生前、大の城好きだった。定年後の趣味として模型製作を始めると、同市西小鷹野の自宅離れにこもり、家族が食事に呼んでも姿を見せないほどだった。

 二条城、熊本城、犬山城と全国の城を手掛け、特に思い入れが深いのが地元の吉田城だった。かつては名古屋城に匹敵する敷地を誇った吉田城の魅力を伝えようと、模型を作っては地元の図書館や市民館などに寄贈し続けた。

 作品を出品するのは、吉田城を盛り上げようと活動する市民団体「吉田城復元築城をめざす会」のメンバーたち。杉浦さんが11年ごろから所属していた団体だ。理事長の木戸珠造さん(73)=豊橋市春日町=によると、杉浦さんは生前、目を輝かせながら何度も「城下町の豊橋は吉田城が原点。お城から町づくりを始めよう」と語っていた。観光客に城の歴史を紹介する活動に精を出し、団体の理事も務めた。

現在の吉田城鉄櫓=豊橋市今橋町の豊橋公園で

現在の吉田城鉄櫓=豊橋市今橋町の豊橋公園で

 最期まで模型を作っていた杉浦さんは、14年9月にがんで亡くなった。木戸さんらは、残された家族が模型のあまりの多さに困っていることを知り、「飾ったり、お城を愛する人にあげたりしたい」と提案。杉浦さんの妻が「夫も浮かばれます」と応え、40個ほどを託された。

 杉浦さんの模型は、豊橋市前田南町の市職業訓練センターで10日に開かれる東三河職業訓練展の中で、15個ほどを展示。来場者の中から希望者に抽選でプレゼントする。

 木戸さんは「杉浦さんは模型作りの技術を子どもに伝えていた。できれば子どもたちの家などに飾ってほしい」と願う。

 (高橋雪花)