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【愛知】撮りためた一宮のノコギリ屋根写真 林さんが108枚出品

ジャンル・エリア : 展示 | 愛知 | 芸術  2018年03月09日

さまざまな表情のノコギリ屋根工場の写真がびっしり並ぶ=一宮市大和町馬引の一宮地場産業ファッションデザインセンターで

さまざまな表情のノコギリ屋根工場の写真がびっしり並ぶ=一宮市大和町馬引の一宮地場産業ファッションデザインセンターで

 繊維産業で栄えた一宮市を象徴する「ノコギリ屋根工場」の写真を集めた作品展「ノコギリノコドウ」が、同市大和町馬引の一宮地場産業ファッションデザインセンターで開かれている。写真愛好家の林秀樹さん(50)=一宮市緑1=が撮りためた写真108枚を壁に並べ、一つの作品のように仕上げた。

 高さ1.8メートル、横8メートルの壁面をびっしり埋めるノコギリ屋根。すべて屋根が二つ連なる「二連」の建物で、形が際立つように横から撮影した108枚が3センチ間隔で並ぶ。

 草むらや駐車場、細い路地の奥など、ノコギリ屋根とともに写る景色はさまざま。工場の壁の色、トタンのさび具合なども表情豊かで、個々の写真の面白さに加え、全体で一つのアートのようだ。

 林さんがノコギリ屋根を撮り始めたのは5年ほど前。「何かテーマを決めて作品を作りたい」と一念発起し、被写体を探すために市内を自転車で走り、その多さに驚いた。結婚を機に約20年前、名古屋市から妻、友美さん(46)の実家のある一宮に移り住んだ。当初はノコギリ屋根に関心はなかったという。

 独特なギザギザの形にひかれた。給水塔や溶鉱炉を同じ構図で撮り、ずらりと並べた作品で知られるドイツの写真家、ベッヒャー夫妻の作風も念頭にあったという。

 地図ソフト「グーグルアース」を使って市内を俯瞰(ふかん)し、屋根を一つずつ確認。自転車で探した建物も含め計2700軒を対象に休日に回り、これまでに計580軒を撮影した。「乗り過ぎて、ママチャリが1台壊れた」。2年半ほどして、建物だけでなく、経営者らのポートレートの撮影も開始。経営者夫婦などを織機とともに正面からとらえた15枚を完成させた。

 今回は、その中からえりすぐりの建物108枚とポートレート8枚を展示。「ノコギリノコドウ」という題名は、「ガッチャン、ガッチャン」と心臓の鼓動のような音を立てる工場を動物に見立ててカタカナで命名した。「ノコ」を2回繰り返し、二連の屋根の形も表したという。

 幼いころからカメラ好きで、大学卒業後、東京の半導体製造会社に就職したが、写真への思いは断ち難く、3年で退職。名古屋市の写真の専門学校に入学し直し、現在は岡崎市の写真スタジオに勤める。ノコギリ屋根の撮影には、小学4年の長男大朗(たろう)君(10)に「ふるさとの一宮のルーツを知ってほしい」との思いもあるという。作品展は15日までで、無料。3月末までの延長も検討している。(問)林さん=090(5101)0556

 (高本容平)