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【静岡】県富士山世界遺産センター 静岡県富士宮市

ジャンル・エリア : グルメ | 展示 | | 神社・仏閣 | 自然 | 静岡  2018年03月22日

逆さ富士をイメージした静岡県富士山世界遺産センターの外観

逆さ富士をイメージした静岡県富士山世界遺産センターの外観

“登山”体験 気分も最高

 静岡県富士宮市に昨年末、オープンした県富士山世界遺産センター。開館2カ月で入場者10万人を達成するなど、早くも人気スポットとなっている。

 同センターは富士山のわき水が流れる神田川沿いにあり、逆さ富士をイメージした外観が特徴で、朱塗りの鳥居と調和している。わき水を引き入れた池のような水盤があって、建物や富士山が水面(みなも)に映ることもある。

 2013年、世界文化遺産に登録された「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」を伝えるための施設で、6つのテーマに沿って紹介されている。目玉は長さ193メートルのらせんスロープを上りながら疑似登山を体験できるコーナー。入ると海から望む富士山の映像が右手に映し出されスタートとなる。こけむした森の中を行くと、展望が開けて、夜景や流れる雲といったように次々と山の表情が変わる。

 朝焼けの中、朝日が昇ってきた。「もうすぐ頂上だぞ」と手すりにつかまりながら、年配の男性もゆっくりと歩を進めている。暗い世界から展望デッキに出る。ここが頂上のようだ。この日は好天で、正面に穏やかな表情の富士山がそびえ立つ。年配女性の2人組は、大きく深呼吸しながら「いろいろな観光地を巡ったけれど、やっぱり、富士山はいいね」という言葉にうなずく。

同センターの展望デッキから望む富士山=いずれも静岡県富士宮市で

同センターの展望デッキから望む富士山=いずれも静岡県富士宮市で

 展示は自然科学、信仰、美術、文学など多岐にわたるが、屋外テラスに石が積まれた小山があるのが目についた。左官職人の挟戸(はさど)秀平さんによる富士塚で、高さは1メートルちょっとだろうか。富士塚は富士山を模した小山で、江戸期、関東地方に多く造られた。これは道もあって3歩で上れそうだった。しめ縄が巻かれた2つの石が、ちょこんと寄り添うように立っている。そのつつましいたたずまいにひかれた。

 見学を終えて神田川沿いに5分ほど歩くと、富士山の雪解け水が豊富にわき出ている湧玉(わくたま)池に着いた。古来、ここで身を清めてから富士山に向かったという。その西に浅間神社の総本宮にあたる富士山本宮浅間大社がある。参拝を終えて、早咲きの桜をながめながら町歩き。お宮横丁という看板に誘われて、路地を入ると飲食店やみやげ店が集まり屋台村のような風情だ。

 迷わずB級グルメの王様「富士宮やきそば」を注文。屋外のベンチで待つこと10分、焼きたてを持ってきてくれた。イワシとサバの削り粉をふりかけて食べるとこしのあるめんで、こってりとした味わいだった。疑似体験とはいえ、「富士山登山」の後の味は格別だった。 (柳沢研二)

 ▼ガイド 静岡県富士山世界遺産センターへはJR身延線・富士宮駅から徒歩8分。午前9時~午後5時(7、8月は午後6時まで)で一般300円、大学生以下・70歳以上・障害者は無料。毎月第3火曜、施設点検日は休み。(電)0544(21)3776。静岡県名古屋観光案内所(電)052(262)7471

(中日新聞夕刊 2018年3月22日掲載)