ジャンル・エリア : 展示 | 芸術 | 静岡 2018年05月21日
浜松市出身の映画監督、故木下恵介さんの弟で、4月30日に102歳で亡くなった映画音楽家・木下忠司さんの追悼展が20日、同市中区の木下恵介記念館で始まった。幼少期からの足跡や創作の過程が垣間見える直筆資料などを通し、音楽で邦画全盛期を支えた功績を伝えている。
忠司さんの曲が流れる展示室には、2016年に記念館であった百寿記念展の資料を再構成した35点が並ぶ。
生い立ちや音楽の道を志したきっかけ、軍隊経験、人生を変えた出会いなどをパネルで紹介。「死闘の伝説」(1963年)の台本や、曲を流すタイミングを記した「映画キューシート」、テレビ時代劇の自筆譜面、郷土の学校のため作曲した歌詞などをそろえた。
来場した男性(77)=同市東区=は、灯台駐在の夫婦を描いた「喜びも悲しみも幾歳月」(57年)の曲が一番のお気に入りという。「弾むようなリズムで、人生の味みたいなものを感じられる」と懐かしむ。「作曲家ではなく映画音楽家だ、というプライドがあったと分かった」と話した。
記念館スタッフの内山丈史さん(30)は「恵介監督の弟というだけでなく、量もジャンルの幅広さも素晴らしい、浜松が生んだ映画音楽家。あらためて知ってもらえれば」と話す。
6月17日まで。最終日には忠司さんが音楽を担当した「死闘の伝説」が、午前10時と午後2時に上映される。
(松本浩司)