ジャンル・エリア : グルメ | スポーツ | 乗り物 | 海 | 特産 | 生き物 | 自然 | 近畿 2018年06月07日
波に揺られ、海岸線巡り
日本海に面した兵庫県豊岡市竹野町。変化に富んだ海岸線をシーカヤックでゆったりと巡ることができるツアーが人気だ。
同市を含む、京都府から鳥取県までの東西約120キロのエリアは「山陰海岸ジオパーク」として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークとして認定されている。ツアーはこれにちなんで「ジオカヌー」と呼ばれている。
大浦湾に面した「竹野スノーケルセンター」前の砂浜を1人乗りのカヤックで出発。未経験だったが、インストラクターの指導で、数分、練習したらなんとか直進できるようになった。透明度の高い海中をのぞくと海藻がびっしりと生えて「海の森」のようだ。その間をアジやメバルの幼魚が泳ぐ。「潜ると時折、大きなクロダイやマダイも泳いでいるのが観察できますよ」とインストラクターの川畑純一さん(38)。
海はなぎだったので外海に出て、荒々しい磯が続く海岸線に沿うように進む。目の前では小魚を追って1メートル近い魚がジャンプした。海面から近い目線なので、海と一体になったような感覚。ゆりかごのような揺れとあいまって心地よい。
やがて岩壁にぽっかり穴が開いた「淀(よど)の洞門」が見えてきた。大鬼が金棒で穴を開けたという伝説があり、向こう側も見える。海面からの高さは15メートルほどだろうか、奥行きは40メートルあるという。帰りはキューピー人形があおむけになったような形をした猫崎半島を望みながら、ゆっくりと進む。4キロ、約90分の冒険だった。
日本海の夏の味覚といえばイカ。湾の高台にある休暇村竹野海岸では、夕食で生きたケンサキイカを調理してすぐに出す「活(い)きイカの舞」と呼ばれるイカ尽くしのプランが人気だ。ケンサキイカの「活き姿造り」は数分前までは水槽で泳いでいたとあって、吸盤も動いている。透明感のある身を口に含むと、こりっとした食感の後、一気に甘みが広がった。
地元産の大粒のシジミとアオサで、だしを取ったイカのしゃぶしゃぶ、いかすみ茶わん蒸し、肝みそ焼きなど、5種類のイカの食べ比べを堪能できた。冒険と味覚で、夏の日本海を体感した。 (柳沢研二)
▼ガイド ジオカヌー体験は要予約。中学生以上5000円、小学4年生以上3500円。「活きイカの舞」宿泊プランは8月31日までで、1泊2食1万4800円から。7月13日まで中日新聞読者限定で1万3900円となる。土曜は1100円増し。「活き姿造り」は2~4人で1杯。悪天候などで生きたイカがない場合は締めたイカを1000円引きで提供。休暇村竹野海岸(電)0796(47)1511。竹野スノーケルセンターは午前9時~午後4時45分で入場無料。湾の生き物や地質について展示。カヌー体験や磯の生き物観察教室、スノーケル教室もある。(電)0796(47)1932
(中日新聞夕刊 2018年6月7日掲載)