ジャンル・エリア : 文化 | 歴史 | 花 | 近畿 2018年06月19日
守山市の史跡に指定されている江戸後期建築の「大庄屋諏訪家屋敷」(同市赤野井町)が、1年9カ月の大修復を終えた。7月1日のオープンを前に、地元住民を対象にした内覧会が17日にあり、これまで足を運んだことのなかった人たちがじっくり見学した。
同屋敷は主屋、書院、茶室と2つの庭園からなり、敷地面積は約3000平方メートル。室町時代に現在の長野県から移り住み、江戸時代に大庄屋として当地一帯の米を管理した諏訪家が邸宅として構えた。先代の当主が2002年に亡くなるまで、家族が暮らしていた。
14年10月に現当主から土地と建物の寄贈を受けた市は、優れた歴史的空間として保存や活用をしていくことを決め、江戸時代末期の安政期に描かれた屋敷の絵図を基に、16年9月に修復に着手。主屋は建物の基礎を解体して組み直し、土間を復元するなど建築時の姿に近づけた。書院と茶室は朽ちた柱や屋根を覆うカヤなどを取り換えた。外構や付帯設備なども含めて約3億円をかけた。
修復以前も含めて屋敷内が公開されたのは初めて。訪れた人たちは、張り替えたばかりの畳の青々とした香りが漂う中、各部屋を見て回り、見頃を迎えた庭のハンゲショウに目を和ませた。近所の主婦の女性(35)は「こんなに立派な建物や庭園が地元にあると知り、感動しました」と話した。
市は7月から常時公開して、市民の活動やイベントなどにも活用する。5月末に同屋敷が文化庁の日本遺産「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」の要素に加えられたこともあり、市文化財保護課の福島温司さん(35)は「地域の宝として、住民が誇りに思える場所にしていきたい」と話した。
(平井剛)