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【長野】透き通るような白い花 茶臼山高原のキヨスミウツボ

ジャンル・エリア : 甲信越 | 自然 |   2018年06月28日

落ち葉の間から姿をのぞかせるキヨスミウツボの花=長野、愛知県境付近の茶臼山高原で

落ち葉の間から姿をのぞかせるキヨスミウツボの花=長野、愛知県境付近の茶臼山高原で

 長野、愛知両県にまたがる茶臼山高原で、地面に積もった枯れ葉の間から、キヨスミウツボが小さな花をのぞかせている。長さ2~3センチ。透き通るような白い花が、神秘的な雰囲気を醸し出す。

 ハマウツボ科の多年草。カシ類やアジサイ類の根に寄生し、養分を吸収して育つ。花が白いのは、葉緑体を持たないためだ。19世紀末、千葉県鴨川市の清澄山で初めて採集され、矢を入れる武具・靫(うつぼ)に花の形が似ていることからこの名が付いたとされる。

 県境に近い根羽村の村営キャンプ場一帯で観察を続ける茶臼山高原両生類研究所・カエル館の熊谷聖秀(まさひで)所長(68)は、花が踏み荒らされないよう、群落の傍らに目印のプレートを立てている。今年は例年より10日ほど開花が早く、見られるのは今月いっぱいという。

 長野県は絶滅危惧1種、愛知県は同2種に指定している貴重な植物だが、盗掘が後を絶たない。「一昨年は、周囲の土ごとごっそり持ち去られました。移植しても絶対根付きません。そっと見守ってほしいですね」と熊谷さんは話した。

 (鈴木泰彦)